毎朝の安全書類、まだ手書きと手入力に時間を取られていないか
建設現場で毎日欠かせない安全書類。KY表(危険予知活動票)や作業手順書は、労働災害を防ぐための重要な書類であると同時に、現場担当者にとって「毎朝の地味な負担」でもある。
工種や作業内容が変わるたびに一から書き直し、ベテランでも1件あたり15〜30分かかることも珍しくない。これをAIで下書きまで自動生成できるとしたら、どうだろうか。
本記事では、ChatGPTやClaudeなどの生成AIを使って、KY表と作業手順書のたたき台を素早く作る具体的な方法を紹介する。

そもそも:KY表・作業手順書とは何か
KY表(危険予知活動票) とは、作業前にチームで「この作業にはどんな危険があるか」を話し合い、対策を記録するための書類だ。建設業では労働安全衛生法に基づき、現場での安全衛生活動の一環として広く実施されている。一般的には「4ラウンド法(現状把握→本質追求→対策樹立→目標設定)」に沿って記入する形式が標準的だ。
作業手順書 とは、特定の作業を安全かつ正確に行うための手順をまとめた書類だ。使用する機械・工具、作業の順番、安全上の注意点などを記載し、特に若手や経験の少ない作業員への教育・引き継ぎにも活用される。
いずれも「安全書類」として現場で日常的に使われるが、工種・作業内容・現場条件が変わるたびに内容を更新する必要があり、その作成負担は積み重なると決して小さくない。
AIをどう使うか:基本的な考え方
生成AIはあくまで「たたき台を作るツール」として使うのが現実的だ。AIが出力した内容をそのまま使うのではなく、現場の実態に合わせて確認・修正した上で使用することが前提となる。
この割り切り方がポイントで、「ゼロから書く」作業をAIに任せることで、担当者は「確認・修正・判断」に集中できるようになる。
KY表をAIで作る:プロンプトと手順
以下のようなプロンプトをChatGPTやClaudeに入力するだけで、KY表のたたき台が数分で出来上がる。
コピペ用プロンプト(KY表):
以下の作業条件でKY表(危険予知活動票)のたたき台を作成してください。
【作業内容】型枠解体作業
【作業場所】地上3階 スラブ下
【使用機器】バール、ハンマー、移動式足場
【作業人数】4名
4ラウンド法(①現状把握→②本質追求→③対策樹立→④行動目標)の形式で、
想定される危険ポイントを3〜5項目挙げて、それぞれの対策とともにまとめてください。
出力された内容をベースに、現場の実態(天候・地盤状況・他業者との干渉など)を追記・修正すれば完成だ。作業条件を変えて毎日使い回せるため、一度プロンプトを作っておけば継続的に時短が効く。
作業手順書をAIで作る:プロンプトと手順
作業手順書も同様に、AIへの指示内容を明確にするほど使えるたたき台が出てくる。
コピペ用プロンプト(作業手順書):
以下の条件で作業手順書のたたき台を作成してください。
【作業名】高所作業車による外壁点検作業
【使用機械】高所作業車(最大作業高さ12m)
【作業人数】2名(オペレーター1名・点検者1名)
【関連法令】労働安全衛生法、高所作業車の安全基準
以下の項目を含めてください:
・作業前点検項目
・作業手順(番号付き)
・安全上の注意事項
・緊急時の対応
出力された手順書は、自社の過去の事故事例や現場特有の条件を追加することで、より実態に即した内容に仕上げられる。
使う上での注意点
AIを安全書類の作成に活用する際、必ず押さえておきたい点がある。
AIの出力は必ず人の目で確認する 生成AIは現場の具体的な状況を知らない。出力されたリスク項目や手順に漏れや誤りがないか、経験ある担当者が必ず確認・修正することが前提だ。
現場固有の条件は必ず追記する 天候・地盤・近隣環境・他業者との干渉など、AIが把握できない情報は担当者が補う必要がある。
最終的な安全管理の責任は人が負う AIはあくまで書類作成の補助ツールだ。安全管理の判断と責任は、現場担当者・安全管理者が担う。
まとめ
KY表や作業手順書の作成は、毎日積み重なる地道な業務だ。AIを「たたき台メーカー」として活用することで、書類作成にかかる時間を大幅に短縮しながら、担当者が本来注力すべき「現場の確認・判断」に時間を使えるようになる。
プロンプトは一度作れば使い回せる。まずは今日の書類作成で、一度試してみてほしい。
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