※本記事は全4回シリーズの第2回目です。
巨額の資金はどこから?
バーナーヒルズの壮大な景観を目にして、私たちの頭に浮かんだ疑問。
「一体、この巨額の資金はどこから来たのだろうか?」
その答えを探ると、舞台はベトナムから遠く離れた東欧・ウクライナへとつながっていきました。
創業者レ・ベト・ラムの挑戦
サングループを率いるのは、創業者のレ・ベト・ラム氏。
彼は若くしてウクライナへ渡り、食品製造業「テクノコム」を立ち上げます。
異国の地でゼロから事業を起こし、インスタント麺「ミヴィナ」を一大ブランドへと成長させました。
ネスレへの売却と巨額資金
2009年、テクノコムは世界的食品メーカー・ネスレに買収されます。
売却額は1億3000万ドルから1億8000万ドル――日本円で200億円前後とも言われる巨額でした。
この資金こそが、レ・ベト・ラム氏が故郷ベトナムの発展に人生を懸けるための原動力となったのです。
「ベトナムの価値」を創造する
得た資金を元手に、サングループは動き出しました。
彼らが選んだ道は、単なるリゾート開発ではありません。
ベトナムの自然や歴史を最大限に活かし、唯一無二の体験を提供するという独自路線でした。
自国文化を磨き上げ、観光資源として世界に打ち出す。
後追いではなく、自分たちの価値を武器にする。
これこそがサングループの強さでした。
非上場を貫く理由
巨額の投資を必要とする事業を、なぜ非上場企業が進められたのか。
背景にあったのは、創業者の実績と、ベトナム政府との強い信頼関係でした。
それが銀行融資や債券発行を可能にし、大胆な経営を後押ししたのです。
その姿は、日本で言えば「非上場を貫きながら世界に挑むサントリー」のようにも見えました。
次回予告
次回は「第3部:世界一のロープウェイが示す挑戦の心」。
世界一のロープウェイをはじめ、サングループが生み出す大胆な事業展開を追います。