アラ還世代に必要なのは「渋じい-SHIBUZI-」力
「いけおじ」という言葉が世間で浸透して久しいですね。イケてるおじさん、若さや洒落っ気を大事にする姿。素敵ですよね。でも、私のようにアラ還世代に必要なのは、もう少し違うものではないでしょうかね。
そこで私は「渋じい」という概念を考えてみました。
渋じい-SHIBUZI-とは――
経験という名の深いコクと、余裕という名のまろやかさを併せ持つ男のこと。派手さではなく、じわりと効いてくる存在感を放つ人のことです。
渋じいの三箇条
一、静かに聴く力
「俺の時代はな…」と口を挟みたくなる気持ちをぐっと堪える。最後まで耳を傾け、後輩が安心して話せる空気をつくる。
先日も、現役生が話し始めてしばらくもしないうちに、つい「昔はもっと…」と言いかけました。でも、ちょっと待てよ、と。彼らの話にこそ、今の生きた情報が詰まっているのです。
二、無駄に張らない力
流行に流されずに愛用し続けるブランド、しっかりメンテナンスされた革靴、何度も読み返した本、行きつけの店での自然な振る舞い。そんな等身大の姿にこそ、本当の渋さが宿るんじゃないでしょうか。
三、余裕で笑う力
自分の失敗も笑い飛ばして、次への力に変える。注意するときにもユーモアを忘れない。この「笑える余裕」を、経験を重ねた者の特権にしましょう。
OBとしての「渋じい」
正直に言います。口を出すだけのOBにはなりたくない。「金は出すが口も出す」では芸がありません。
せめて、後輩たちが見て「あんな風になりたい」と思える背中を見せたい。それが私たちの本当の役割ではないでしょうか。
グラウンドで汗を流すことはもうできないかもしれない。でも、人生という長いフィールドで見せられる渋いプレーは、まだまだあるはずです。
渋じいが増えた世界を想像してみよう
もしOB会に渋じいが増えたら――
現役生は安心してOBに相談できるようになる。
若手OBは人生の先輩として自然に憧れを抱く。
そして私たちOBも、肩の力を抜いて楽しめる。
今日からできる渋じい習慣
・会話では「まず3回はうなずいてから話す」
・自慢話は封印、失敗談を武器にする
・「最近の若い子は」を「最近の若い子から学んだのは」に変える
・一つだけでいいから、長く愛用しているものを大切にする
おわりに
実は告白すると、OB会で一番話を聞けてないのは私自身です(笑)。だからこそ、自戒を込めて「渋じい」という言葉をここに置きました。
これは仲間への提言でも説教でもなく、私自身への強い戒めです。まだまだ話を遮ってしまう私ですが、少しずつでも渋じいに近づいていきたい。
「渋じい」という言葉がここから生まれ、やがて世間に広まっていく。
まずは私から。渋じいへの道を歩みます。