補助金・制度・創業支援から見る再生の輪。家と人と地域をつなぐ、持続可能なまちづくりの形を解説します。
制度と支援から見える「つなぐ再生」──空き家リノベーションが描く持続可能な地域像
長く人が暮らさなかった家を再び灯りのつく空間に変えるには、資金面・技術面・制度面の後押しが欠かせません。
ここでは、2025年度現在利用できる主要な補助金・支援制度を整理しながら、空き家・古民家再生がいかに「地域をつなぐ社会的活動」として定着しつつあるかを見ていきます。
国の支援制度：実質最大200万円の補助
国の住宅支援プログラムでは、空き家の耐震・間取り変更・バリアフリー改修などを対象に、国と地方合わせて最大200万円の補助が受けられる「空き家活用推進事業補助金」が実施されています。
さらに、子育て世帯や移住者支援を含む場合は、家族構成に応じて上限額が加算される仕組みも整いました。
こうした制度により、個人でも「文化を守りながら暮らす家づくり」に踏み出しやすい環境が生まれています。
自治体の挑戦：地域まちづくり型の補助
各地の自治体も、地域ニーズに沿った支援制度を展開しています。
大阪市の「空家利活用改修補助制度」では、地域食堂・高齢者サロンなど“地域に開かれた居場所づくり”を行う改修に補助が行われ、まさに“家をまちの資源として使う”発想が広がっています。
また、兵庫県や三木市では、伝統建築技術の継承を目的に、大工・左官職人などとの連携型支援が整備され、地域の技術文化を再生事業の中で継承する動きが見られます。
経済支援と創業支援：まちづくりファンドの拡大
空き家を拠点とした創業やまちづくり活動を後押しする「まちづくりファンド」も全国で広がっています。
埼玉の取り組みでは、信用金庫やNPOが連携し、古民家カフェや木工クラフト工房、宿泊事業を支援しながら、“地域経済を育てるリノベーション”の輪をつくっています。
リノベーションは、もともと「直す」ことから始まる営みですが、今では「生業を育む」まで発展しており、個人・地域双方に持続的な経済循環を生み出す段階に入っています。
環境とエネルギー：省エネキャンペーンとの連動
2025年度は「住宅省エネキャンペーン」と連携し、古民家改修に高断熱材や再生エネルギー技術を取り入れる支援も拡充しました。
古民家再生がエコ住宅政策の一翼を担う時代——それは、“古さ”を手放さずに環境価値へ転換する日本ならではのエコ文化の形です。
補助金以上の価値：制度が生む「つながり」
補助や助成は、単なる金銭的支援ではありません。
家の再生が地域の再生に繋がり、地域の再生が人と人を結び、さらに若い世代へとその絆が受け継がれる。
そこには「制度を超えた社会的リターン」があります。
特に、空き家を地域の居場所・観光拠点・創業拠点へ活かす流れは、まさに“暮らしの中で人を結ぶプラットフォーム”といえるでしょう。
結び：ザ・ブリッジ株式会社として
築90年の家が息を吹き返すように、地域や人の関係もまた「再生」によって新しい形を迎えています。
ザ・ブリッジ株式会社は、「人と人」「地域と地域」「世代と世代」をつなぐ架け橋として、古民家リノベーションのように“記憶を活かし、未来をデザインする”活動をこれからも応援していきます。
建物を直すだけでなく、人の想いと地域の記憶をつなぐ——
その一つひとつの橋が、やがて日本全体の風景を変えていくと信じています。
【シリーズ完結】
「空き家・古民家リノベーションの未来」全5回を通じて、
建物の再生を超えた“関係の再生”をテーマにお届けしました。
次なる橋づくりへ——The Bridgeはこれからも、再生の現場に寄り添い続けます。
シリーズ
