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阪急阪神ホールディングス エコなコト① 概要編

1980年代の日本ポップアート風に描かれた阪急電車と阪神電車のSDGsトレイン。明るいパステルとビビッドカラーで彩られ、花模様や旗がデザインされたレトロな雰囲気のイラスト。
目次

第1回:概要編 – 現場と技術が紡ぐ環境イノベーション

はじめに

関西を代表する総合生活産業グループ・阪急阪神ホールディングスが推進する環境保全活動(エコなコト)は、単なる技術導入にとどまらない。現場で働く職員の創意工夫と最新技術の融合により、実質的な環境負荷低減を実現している点こそが、同グループの環境取り組みの真価といえるだろう。

本連載では、現場と技術の架け橋となる具体的な取り組みを4回にわたって詳しく紹介する。

阪急阪神グループの環境戦略

「『安心・快適』、そして『夢・感動』をお届けすることで、お客様の喜びを実現し、社会に貢献する」というグループ経営理念のもと、2020年5月に「阪急阪神ホールディングスグループ サステナビリティ宣言」を策定。6つの重要テーマの一つとして「環境保全の推進」を掲げ、環境委員会(委員長:阪急阪神ホールディングス社長)を設置し、グループ全体で環境活動を推進している。

注目すべき4つの取り組み

1. 全線カーボンニュートラル運行 2025年4月1日から阪急・阪神全線(約193km)で実質CO2排出量ゼロを実現。関西の鉄道会社では初の快挙で、現場運転士の省エネ技術と再生可能エネルギー技術の融合による成果だ。

2. 回生ブレーキ技術の活用 ブレーキ時にモーターを発電機として使用し、30%~50%の電力を架線に返して他の列車で再利用。技術革新と運転士の習熟した操作技術が一体となった省エネシステムの代表例である。

3. カーボン・ニュートラル・ステーション 摂津市駅は日本初の「カーボン・ニュートラル・ステーション」として、太陽光発電、LED照明、雨水利用などの省エネ施設でCO2排出量を実質ゼロに。

4. 環境啓発活動 「エコトレイン 未来のゆめ・まち号」から「SDGsトレイン 未来のゆめ・まち号」へと発展し、省エネ車両使用と100%再生可能エネルギーで環境メッセージを発信。

現場と技術の融合がもたらす効果

これらの取り組みの共通点は、最新技術の導入だけでなく、現場職員の理解と実践が環境効果を最大化している点だ。例えば、神戸三宮駅では回生電力を駅舎設備で活用し、年間140,000kWhを有効活用している。

また、バス・タクシー事業では、従業員教育、アイドリングストップ装置付き車両導入、エコドライブコンテスト開催など、現場教育と技術的サポートを組み合わせた包括的アプローチを採用している。

次回予告

第2回では、回生ブレーキ技術に焦点を当て、運転士の操作技術と電気制御システムがどのように連携して30~50%の電力削減を実現しているかを詳しく解説する。現場での実際の運用方法から技術的仕組みまで、現場と技術の架け橋となる具体的事例を紹介予定だ。

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