エグゼクティブサマリー
アスリートマネジメント業界は、スポーツ市場規模15兆円(2025年目標)という政府目標の下で急速に成長している業界です。芸能・スポーツマネジメント業界全体の市場規模は約1兆2100億円となっており、アスリートのキャリア支援から引退後のセカンドキャリアまでを包括的にサポートするビジネスモデルが確立されています。
業界の特徴
- アスリートの競技活動と商業活動の最適化
- スポンサー獲得と契約交渉の代行
- メディア露出とブランディング支援
- 引退後のセカンドキャリア設計
1. 業界概況
1.1 市場規模と成長性
スポーツ庁の第3期スポーツ基本計画では、2025年までにスポーツ市場規模を15兆円に拡大することを目標としており、アスリートマネジメントはその重要な構成要素として位置づけられています。
市場拡大の要因
- プロスポーツの商業化進展
- スポーツコンテンツの多様化
- デジタル技術の活用拡大
- インバウンド需要の回復
1.2 業界構造
アスリートマネジメント業界は以下の主要プレイヤーで構成されています:
大手プレイヤー
- サニーサイドアップ(中田英寿、前園真聖など所属)
- ジエブ(村田諒太、瀬戸大也、池江璃花子など所属)
- アスリート・マーケティング(岡田彰布、山本昌など所属)
- IMG(グローバル企業)
中小・専門企業
- 株式会社ディンゴ
- 株式会社ブースト
- 株式会社エイジェックスポーツマネジメント
2. ビジネスモデル分析
2.1 収益構造
アスリートマネジメントのビジネスモデルは、プロのスポーツ選手やアスリートを支援し、彼らのキャリアを最大化させるためのサービスを提供することで収益を得ています。
主要収益源
- マネジメント手数料(アスリートの収入の10-20%)
- スポンサー契約仲介手数料
- イベント・講演企画手数料
- コンサルティング収入
2.2 提供サービス
コア事業
- 契約の交渉、金銭面のバックアップをしていただく企業への働きかけ、TV・イベント・講演会の出演交渉
- 公式ホームページ、ブログ、SNSの運営
- アスリートおよびタレントの価値を最大限に高められるようなブランディング、マーケティング
サポート事業
- フィジカルケア、メンタルケア、栄養管理など資本となる身体のサポート
- 練習環境の整備、国内・海外の遠征コーディネート
3. 株式会社ディンゴ分析
3.1 企業概要
株式会社ディンゴは「スポーツ感動創造カンパニー」として、スポーツの持つチカラを具現化し、教育、医療・健康、娯楽エンターテイメント、ファッションなど、様々なビジネス分野で活用することを使命としています。
企業理念
- スローガン:「Sport is not just sport, but sport$ !」
- スポーツの持つチカラを具現化し伝えることで、本当のスポーツの価値が社会に受け入れられる
3.2 事業内容
ディンゴの主要事業は以下の通り:
- アスリートマネジメント事業
- アスリートがより高いパフォーマンスを発揮できるように競技環境を整える業務
- 引退後のセカンドキャリアへプランニングとそのスムーズな移行への支援
- スポーツプロモーション事業
- スポーツイベント、講演、セミナーの企画制作
- スポーツ関連の商品の制作販売やサービスの提供
- スポーツコンサルティング事業
- 各種スポーツ団体、協会、組織のマネジメント運営に関するコンサルティング
3.3 競合優位性
差別化要因
- 関西学院大学との連携による人材ネットワーク
- 地域密着型アプローチ
- スポーツの多様な分野での化学反応創出への注力
4. 業界の課題と機会
4.1 主要課題
構造的課題
- 才能があるにもかかわらず、その能力を評価されずに引退するアスリートの存在
- 小規模企業の多さによる経営基盤の脆弱性
- アスリートの現役期間の短さ
市場課題
- 新型コロナウイルスの影響で、2025年目標の達成は容易ではない状況
- デジタル化への対応遅れ
- 国際競争の激化
4.2 成長機会
テクノロジー活用
- デジタル技術の活用による新サービス開発競争
- SNSとデジタルマーケティングの拡大
- データ分析によるパフォーマンス向上支援
市場拡大
- 地域発のスポーツビジネスの成長
- インバウンド需要の回復
- eスポーツ市場の拡大
5. 今後の展望
5.1 業界トレンド
2024年以降の重要動向
- 地域とデジタルの二つのキーワードがポストコロナのスポーツ市場を力強く牽引
- スタジアム・アリーナ整備を起点とした、スポーツエコシステム構築の動き
- スポーツデータ、NFT、スポーツベッティングなど新技術を駆使した新しい楽しみ方
5.2 成功要因
企業の成功要因
- 総合サービス提供能力
- アスリートマネジメント業界での経験を積むことが、収入アップに繋がる
- 現役から引退後まで一貫したサポート
- デジタル対応力
- SNS活用によるファンベース構築
- データ分析によるパフォーマンス向上
- ネットワーク構築
- 業界の知識やネットワークを広げることが大切
- スポンサー企業との関係構築
6. 提言
6.1 ディンゴへの提言
関学の後輩が代表を務めるディンゴの今後の成長に向けて、業界分析を踏まえた戦略提言をまとめました。
短期戦略(1-2年)
- 関西圏でのブランド確立と市場シェア拡大
- デジタルマーケティング能力の強化
- 大学スポーツとの連携強化
中長期戦略(3-5年)
- 全国展開の準備
- セカンドキャリア支援事業の拡充
- 海外アスリートとの契約拡大
6.2 業界全体への提言
持続可能な成長に向けて
- スポーツの価値を再定義し、新たなスポーツ市場の創出への取り組み
- アスリートの長期キャリア支援体制の構築
- 地域密着型ビジネスモデルの確立
まとめ
アスリートマネジメント業界は、スポーツビジネスの現状と課題を概観する中で、回復の兆しを見せ始めている状況にあります。ディンゴのような中小企業にとっては、地域性とデジタル化の両面でのアプローチが成功の鍵となるでしょう。
業界全体としては、2024年は、デジタル活用の優劣が、スポーツビジネスの明暗を分ける年となることが予想され、アスリートマネジメント企業にはより高度な専門性と包括的なサービス提供能力が求められています。
参考リンク
株式会社ディンゴ|スポーツ感動創造カンパニー DINGO
公式サイト
関学後輩の会社の公式サイト
スポーツの成長産業化(第3期スポーツ基本計画):スポーツ庁
政府公式資料
2025年までにスポーツ市場規模15兆円目標
芸能・スポーツマネジメント業界 市場規模・動向 | NIKKEI COMPASS
記事リンク
業界全体の市場規模1兆2100億円など基本データ
アスリートマネジメントとは|HALFTIME
解説記事
アスリートマネジメントのビジネスモデルと業界構造の解説
アスリートの支援に関わりたい人に必見な7つの企業
企業紹介記事
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